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「終身保険」は、その名の通り保障が一生涯続く生命保険です。被保険者がいつ亡くなっても保険金が支払われるため、長期的な安心を得たい方に選ばれています。また、解約時に解約返戻金を受け取れるなど、貯蓄性を兼ね備えている点も大きな特徴です。一定期間の保障を目的とする定期保険とは異なり、葬儀費用準備や相続対策、将来への資産形成としても活用できます。この記事では、「終身保険」の仕組み、メリット・デメリット、選び方のポイントを分かりやすく解説します。
【目次】
- 終身保険とは?一生涯続く保障の仕組み
- 終身保険のメリット:貯蓄性と安心感
- 終身保険のデメリットと注意すべき点
- 終身保険の活用法:葬儀費用から相続対策まで
- 自分に合った終身保険の選び方のポイント
終身保険とは?一生涯続く保障の仕組み
終身保険は、生命保険の一種であり、その最大の特色は保障が被保険者の死亡時まで、つまり「一生涯」続く点にあります。契約時に定められた死亡保険金は、被保険者がいつ亡くなっても、必ず受取人に支払われます。これにより、遺族への経済的な支えや、ご自身の葬儀費用などを確実に準備できるという安心感があります。
また、終身保険の多くは「貯蓄性」を備えています。支払った保険料の一部が積み立てられていき、解約した際には「解約返戻金」として、契約期間に応じて一定額のお金が戻ってきます。この解約返戻金を活用して、老後資金の一部としたり、教育資金に充てたりすることも可能です。
保険料の払込方法には、一生涯払い続ける「終身払」と、一定期間(例:10年、60歳までなど)で払い終える「短期払(有期払)」があります。短期払の場合、月々の保険料は高くなりますが、払込完了後は保険料負担なく一生涯の保障が継続します。この終身保険の基本的な仕組みを理解することが、活用への第一歩となります。
終身保険のメリット:貯蓄性と安心感
終身保険には、他の保険にはないメリットがいくつかあります。
- 一生涯の死亡保障: なんといっても一番のメリットは、保障が一生涯続くことです。定期保険のように期間満了による保障切れの心配がなく、いつか必ず訪れる万が一の時に備えることができます。これにより、遺族への保障やご自身の最終整理費用(葬儀費用など)を確実に準備できます。
- 貯蓄機能がある: 支払った保険料が積み立てられ、解約返戻金として戻ってくるため、保障と貯蓄を両立できます。計画的に資産形成を進めたい方や、銀行預金よりも有利な利回りを期待したい(※ただし元本保証ではない場合が多い)方にとって魅力的な選択肢となります。
- 保険料が原則変わらない: 多くの終身保険では、契約時の保険料が払込期間満了まで変わりません(※一部商品を除く)。将来のインフレリスクはありますが、保険料が途中で上がらないため、長期的な資金計画が立てやすいという利点があります。
- 相続対策に活用できる: 死亡保険金は、受取人固有の財産とみなされるため、遺産分割協議の対象外となります。また、「500万円 × 法定相続人の数」までは相続税が非課税となる生命保険金の非課税枠を活用でき、相続税対策としても有効です。
これらのメリットにより、終身保険は単なる死亡保障だけでなく、長期的な資産形成や相続準備の手段としても活用されています。
終身保険のデメリットと注意すべき点
一方で、終身保険にはデメリットや注意点も存在します。
- 保険料が割高: 同じ保障額で比較した場合、保障が一定期間の定期保険に比べて保険料が高くなります。特に若い方にとっては、月々の保険料負担が重く感じられる可能性があります。
- 解約返戻金の元本割れリスク: 契約してすぐや、比較的短期間で解約した場合、解約返戻金がそれまでに支払った保険料の総額を下回る「元本割れ」を起こす可能性が高いです。貯蓄目的で加入する場合でも、短期での解約は損をするリスクがあることを理解しておく必要があります。特に、保険料払込期間中の解約返戻金を低く設定することで保険料を抑えた「低解約返戻金型終身保険」は、払込期間満了前に解約すると元本割れのリスクがより高くなります。
- インフレに弱い可能性: 契約時に設定した保険金額は、基本的に固定されます。そのため、将来インフレが進んだ場合、受け取る保険金の実質的な価値が目減りしてしまう可能性があります。
- 保障内容の見直しがしにくい: 保障が一生涯続く反面、ライフステージの変化に合わせて保障額を減らすなどの柔軟な見直しは、定期保険ほど容易ではありません。
これらのデメリットを理解し、ご自身の経済状況やライフプラン、終身保険に求める目的(保障重視か、貯蓄重視か)を明確にした上で、慎重に検討することが重要です。
終身保険の活用法:葬儀費用から相続対策まで
終身保険は、その特性から様々な目的で活用されています。
- 葬儀費用・整理資金の準備: 自身に万が一のことがあった際の葬儀費用や、身辺整理のための費用を確実に準備しておくことができます。受取人を指定しておけば、相続手続きを待たずに比較的スムーズに資金を受け取れるメリットもあります。
- 遺族の生活保障: 保障が一生涯続くため、遺族への長期的な生活保障の一部として活用できます。ただし、大きな保障額を確保しようとすると保険料が高額になるため、定期保険などと組み合わせて考えるのが一般的です。
- 相続税の納税資金準備: 相続が発生した場合、相続税は原則として現金で納付する必要があります。終身保険の死亡保険金を活用すれば、他の相続財産を売却することなく、スムーズに納税資金を準備できます。
- 遺産分割対策: 特定の人(例えば、家業を継ぐ長男など)に確実に財産を残したい場合、その人を死亡保険金の受取人に指定することで、遺産分割協議の影響を受けずに財産を渡すことが可能です。
- 老後資金・教育資金準備: 貯蓄性を活かし、解約返戻金や契約者貸付制度を利用して、将来必要となる老後資金や子どもの教育資金の一部に充てることも考えられます。
このように、終身保険は加入目的を明確にすることで、多様なニーズに応えることができる金融商品と言えます。(※イメージ画像)
自分に合った終身保険の選び方のポイント
終身保険を選ぶ際には、以下の点を考慮して、自分に合った商品を選びましょう。
- 加入目的を明確にする: なぜ終身保険が必要なのか(葬儀費用、相続対策、貯蓄など)を具体的に考えます。目的によって必要な保障額や重視すべきポイントが変わってきます。
- 適切な保障額を設定する: 目的(葬儀費用なら200~300万円程度、相続対策なら納税予想額など)に応じて、過不足のない保障額を設定します。
- 保険料払込期間を選ぶ: 「終身払」にするか、「短期払(60歳払済、10年払済など)」にするか、ご自身のライフプランやキャッシュフローに合わせて選びます。短期払は月々の保険料は高いですが、老後の負担はありません。
- 解約返戻金の水準を確認する: 貯蓄性を重視する場合は、解約返戻金の返戻率(支払った保険料総額に対して戻ってくる割合)を確認しましょう。特に「低解約返戻金型終身保険」は、払込期間中の返戻率が低い点に注意が必要です。
- 複数の商品を比較検討する: 保険会社や商品によって、保険料、解約返戻率、付加できる特約などが異なります。複数の商品を比較し、最も自分のニーズに合うものを選びましょう。
- 保険会社の健全性を確認する: 長期にわたる契約となるため、保険会社の経営状況や格付けなども参考にすると良いでしょう。
専門家であるファイナンシャルプランナーなどに相談するのも有効な方法です。
【まとめ】
終身保険は、「一生涯の保障」と「貯蓄性」を兼ね備えた生命保険です。葬儀費用の準備、相続対策、長期的な資産形成など、様々な目的に活用できる一方で、保険料が比較的高く、早期解約時には元本割れのリスクがあるなどの注意点もあります。終身保険のメリット・デメリットを十分に理解し、ご自身のライフプランや目的に合っているかを慎重に検討した上で、最適な商品を選ぶことが重要です。この記事が、あなたの終身保険選びの一助となれば幸いです。
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